2012年9月5日水曜日

一気読み、「百年法」。

最近、本ネタが多くて恐縮なのですが・・・、多読派かつ乱読派の私は、かさむ本代が悩みの種。文庫化されてから買う、中古本が出回るのを待つ・・・などで、できるだけコストセーブしています。

そんな私が、「うーん、ブックオフの105円コーナーなら、40冊近くも買えるぅ・・・」などとケチなことを考えつつ、我慢できずに買ってしまった新刊(上下2冊)が、この「百年法」。評判にたがわず、すごく面白い作品でした!朝までやめられず、一気読みしてしまいました。




角川書店のサイトから再掲(引用)したあらすじは、こんな感じです。
1945年、太平洋戦争終結。日本には原子爆弾が6発投下され、都市部は壊滅。人口は半減。日本全土を支配下に置いたアメリカは天皇制を廃し、共和制を敷いた。
そんな中、GHQはすでにアメリカで実用化されていたヒト不老化技術(human-ageless-virus inoculation:HAVI)を日本に導入することを決定する――。そのHAVIの導入時に一つの法律が制定された。生存制限法。通称「百年法」。 
「HAVIを受ける者は、処置後百年を経て、生存権を始めあらゆる権利を放棄することに同意せねばならない」つまり、百年後には死ななければならない。そんな日本で、その最初の百年が迫っていた……!? HAVIをつかさどる官僚・遊佐章仁、国益を追求する政治家・永尾聖水、母がまもなく百年法による死を迎える大学生「僕」、HAVIの世界に反旗をかかげる「阿那谷童仁」……様々に思惑が渦巻く“世界”はどこへ向かうのか!?

多くの書評では、「山田宗樹初のSF作品」などと紹介されていますが、随所に、今の社会につながるリアリティがあり、少子高齢化、格差社会、世代対立、民主主義の混迷、官僚機構と利権・・・などなど現代日本がかかえる問題を凝縮した作品、と読めなくもありません。あるいは、生きること、死ぬことがテーマである・・・とも。

でも、作者は、とにかく面白い小説を書きたかったようです。インタビューで、「特定のメッセージを意図したものではない」、「僕の中にあったのは、<百年法>というアイディアをいかに面白くつくるか、ということ。」、「壮大な物語を一気読みしたい人の要望に応えられる一冊になっているはず」と、語っています。
そして、そのとおり、読み始めたら、一気に読み進まないではいられない面白さは、太鼓判!です。

何も考えないで、ストーリの面白さを楽しむもよし。深読みして、人間社会のあり方への警鐘と受け取るもよし。この作品をどう受け止めるか、どう読むかは「読み手次第」で、いろいろなんじゃないかと思います。

でも、シニア層にとっては、この作品は、「生きること」「人生の長さとは?」と考える、とてもいいきっかけになるんじゃないかと思い、このブログで紹介しました。


角川書店の以下のサイトに、あらすじや書評、作者のコメントなども掲載されています。私があれこれ書くよりも、そちらをご覧いただいた方がわかりやすいと思いますので、興味のある方は、ぜひどうぞ。
http://www.kadokawa.co.jp/sp/201207-05/

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